ハラスメント19種類を紹介！共通の注意点は【目的と手段】

・ハラスメントだと思われたくなくて、業務指示を出しにくい
・若手の行動を注意したいが、ハラスメントになるのかな
・ハラスメントにはどんなものがあるの？

近年、ハラスメントの認知度は高く「パワハラ」「セクハラ」なら知らない人はいないでしょう。

しかし、どこからがハラスメントにあたるのかなど、詳しいことはあまり知られていません。

なぜなら、ハラスメントの明確な定義がないからです。

そこでこの記事では、どんなことをしたらハラスメントにあたるのか、ハラスメントをしないために気を付けることなどを紹介します。

この記事を読むことで、自信をもって業務上のコミュニケーションをとれるようになります。

ハラスメントとは

ハラスメントとは、不快な言動や行為によって相手に精神的苦痛を与えることを指します。

簡単に言うなら、職場や学校などの生活環境を悪化させるもののこと。

ハラスメントを受ける側は、パワーバランスが不均衡な場合が多いため、その状況から抜け出すのが難しいのです。

下記サイトでは、自分がどんなハラスメントを受けているのかをチェックできます。

≫ハラスメントチェックを受ける

必要に応じて、診断結果を会社の上司や人事部、担当者へ報告しましょう。

ハラスメントといじめの違いは？

ハラスメントといじめは、相手が嫌がる言動などをする点では共通しています。

しかし、その性質や範囲などに違いがあります。

ハラスメント

ハラスメントは、一般的に職場や学校での社会的な場での嫌がらせをすることです。

セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、モラルハラスメントなど、さまざまな種類があります。

ハラスメントは、被害者のメンタルやキャリアに影響を与える深刻な問題です。

いじめ

いじめは、一般的に学校や地域社会における同年代や年下の者からの嫌がらせのことです。

身体的な暴力、言葉や行動での嫌がらせなど、さまざまな形態があります。 

被害者の自尊心や学業成績に深刻な影響を与えるだけでなく、場合によっては自殺に追い込んでしまうこともあるため、深刻な問題となっています。

ハラスメントもいじめも、被害者にとっては大きなストレスや苦しみを感じる問題であり、社会全体での取り組みが必要です。

ハラスメントの種類はいくつある？

ハラスメントの種類には、際限がありません。

次から次に新たなハラスメントが登場します。

ここでは、従来のハラスメントから新しいハラスメントまで、網羅的に知ることができます。

【ハラスメント全19種類】

1.パワハラ
2.セクハラ
3.モラハラ
4.ジェンハラ
5.マタハラ
6.レイハラ
7.リスハラ
8.アルハラ
9.エアハラ
10.オワハラ
11.スメハラ
12.カラハラ
13.ブラハラ
14.ハラハラ
15.ロジハラ
16.セカハラ
17.リモハラ
18.スモハラ
19.テクハラ

パワーハラスメント（パワハラ）

パワーハラスメントは、後輩や部下に対して上司などが優位的な関係を利用し就業環境を害するものを指します。

具体的には以下のようなものがあります。

・上司が金曜の夜に「月曜の朝までに報告書を作ってほしい」などとすぐには終わらない業務を任せ、長時間の残業を強要する
・業務上、関係のない作業をさせる
・業務指示を一切せずに仕事をさせない

パワハラは被害者の自尊心やプライドを傷つけ、社会的影響を強く受けてしまいます。

セクシャルハラスメント（セクハラ）

性的な言葉や行為によって相手を不快にさせることをいいます。

例えば、以下のような例がセクハラに該当します。

・不必要や肉体接触
・性的なジョーク
・ポルノグラフィーの閲覧や表示
・嫌がらせ目的の下着や肌の露出

セクハラの影響は深刻です。

精神的、肉体的な苦痛やストレスを感じ、仕事や学校などでのパフォーマンスが低下してしまいます。

モラルハラスメント（モラハラ）

モラルハラスメントは、職場などで精神的に苦しめるような嫌がらせや攻撃的な言動を指します。

地位や立場は関係ありません。

モラハラには以下のような行動が当てはまります。

・挨拶をしても返さない
・悪口や陰口を言う
・集団から切り離し故意に孤立させる

モラハラは人間関係が悪化するだけでなく、職場環境全体にまで悪影響を及ぼします。

マタニティーハラスメント（マタハラ）

マタニティーハラスメントは、妊娠中または出産後の女性に対しての嫌がらせを指します。

妊娠中の女性に対しての嫌がらせは、ストレスなどにより、最悪の場合「流産の危険性」を引き起こすことが考えられます。

具体的には以下のような例があります。

・妊娠をきっかけに業務の削減、減給などの不利益な処遇を与える
・過酷な業務を強いたり健康に有害な仕事をさせたりする
・侮辱的な言葉をかけたり嫌がらせをしたりする
・男性社員と比較して良くない処遇を与える

これらの行為は女性のキャリアアップに深刻な影響を及ぼすため、社会的に問題視されています。

ジェンダーハラスメント（ジェンハラ）

ジェンダーハラスメントは、性別に基づいて不適切な扱いを受けることを指します。

男性または女性特有の行動に対して、悪意のあるコメントが該当します。

具体的には以下のような例があります。

・「女性らしく振る舞え」と男性から言われる
・「女性は育児などの影響で仕事に取り組めない」と言われる
・男性に比べて女性の給料が低い
・男性よりも低い地位に就かされる

いずれも性別に基づいて不適切な扱いを受けていることが示されます。

レイシャルハラスメント（レイハラ）

レイシャルハラスメントとは、人種や民族に基づく嫌がらせや差別的な言動、行為のことを指します。

レイシャル（racial）には、「人種の」「民族の」という意味があります。つまり出身地や宗教、肌の色などで嫌がらせをすることです。

具体的には以下のような例が挙げられます。

・○○人は香辛料が好きだろうから……といった発言をする
・ある民族出身の社員に対して昇進や報酬面で不当に不利な扱いをする
・ある民族出身者を見ると「犯罪者だろう」といった先入観から、不当に疑われる

レイシャルハラスメントは、被害者に対して深刻な心理的、身体的なダメージを与えるだけでなく、職場や学校、社会全体に対しても大きな影響を与えます。

リストラハラスメント（リスハラ）

リストラハラスメントとは、企業がリストラ（人員削減）を行う際に、従業員に嫌がらせをしたり意図的に無理な業務を強いたりすることを指します。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

・仕事を与えない、与えても無理難題を押し付ける
・態度や表情、口調で人格を否定するような発言をする
・他の従業員と比較して否定的な評価を与える
・省エネを理由に冷房や暖房を切るなど、職場環境を故意に悪化させる

リストラハラスメントは、心身に大きく負担がかかる行為です。

場合によっては、うつ病や不眠症などの健康被害を被ることがあります。

アルコールハラスメント（アルハラ）

アルコールハラスメントとは、飲み会への参加を強要する行為などを指します。

他にもさまざまなことがアルハラに該当します。

・飲み過ぎた際に暴言や暴力を振るう
・酒癖が悪い上司などが泥酔状態で侮辱的な言葉を浴びせたり体を触ったりする
・罰ゲームといった形でイッキ飲みを強要する

アルコールハラスメントは、職場の雰囲気やチームワークに悪影響を与えます。

企業としての取り締まりが必要です。

エアコンハラスメント（エアハラ）

エアコンハラスメントとは、職場の共同空間でエアコンの設定温度や運転時間の調整により一部の人に不快感や健康被害を与える行為を指します。

具体的には、以下のような例があります。

・暑いまたは寒いと感じる人に対して「我慢しろ」などといった発言をする
・暑いと感じる人がいるにもかかわらずエアコンを止める
・一部の人だけ快適な環境を確保するための露骨な操作をする

エアコンハラスメントは、健康に悪影響を与える恐れがあるため、上司などに早めに相談をしましょう。

オワレハラスメント（オワハラ）

オワレ（終われ）ハラスメントとは、内定を出した企業が就職活動中の人に向けて、もう就職活動を辞めるように迫ることを指します。

入社直前または入社日まで連絡をせずに、内定を辞退するようなモラルに反した行為があることが、オワレハラスメントを拡大した要因になっています。

スメルハラスメント（スメハラ）

スメルハラスメントとは、臭いで周囲の人を不快にさせる行為を指します。

具体的には、以下のような例がスメルハラスメントに該当します。

・体臭や口臭で周囲の人の気分を害する
・職場や学校の食生活に支障が出るほどの臭いを発する
・整髪料や柔軟剤で強いにおいを発する

においの感じ方は人それぞれで、中には整髪料や柔軟剤などのにおいを不快に感じる人もいます。

一方で、臭いが原因で叱責することもハラスメントととらえることができるので、扱いが非常に難しいです。

カラオケハラスメント（カラハラ）

カラオケハラスメントとは、カラオケを利用した嫌がらせや迷惑行為のことを指します。

カラオケハラスメントには、以下のような例があります。

・カラオケが苦手な人に歌うことを強要する
・特定の人物を無理矢理ステージに上げ、歌わせたり、踊らせたりする
・騒がしい歌声や、周囲が嫌がるような曲を無理やり歌わせる

カラオケでの対応次第で仕事の処遇を決めるようなことは、カラオケハラスメントになります。

ブラッドハラスメント（ブラハラ）

ブラッドとは、「血液」のことです。つまり、血液型に関して差別や嫌がらせをする行為のことを指します。

具体的な事例として以下のようなものがあります。

・特定の血液型を持つ人を否定したり、偏見を持つ
・血液型によって人を評価したり、優劣をつけたりする
・血液型に基づいて、特定の人物をいじめたり、嫌がらせをする

日本では、血液型に関する性格や運勢などの占いが盛んです。

人によっては血液型が、性格や能力に影響するという思い込みがあることも事実です。

しかし、血液型と人格や能力との関連は認められないという結論が出てきます。

ブラッドハラスメントは、個人の尊厳を侵害する不当な行為となります。

ハラスメントハラスメント（ハラハラ）

ハラスメントハラスメントとは、他人の行動に対して不快だと思ったことをハラスメントだと過剰に主張することを指します。

例えば以下のようなものがハラハラに当たります。

・業務指導を行なっただけで、パワハラと主張してきた
・露出度の高い服を着た女性に対して注意をしたらセクハラだと主張してきた
・業務態度を改めるよう指摘したらモラハラだと主張してきた

ハラスメントハラスメントが広まった背景は、ハラスメントの認知が高まったことが要因のひとつです。

ハラスメントに対してハラスメントを主張したら、それもハラスメントになり得ます。

ロジカルハラスメント（ロジハラ）

ロジカルハラスメントとは、論理的に正しいことを主張して相手を攻撃し、傷つけることを指します。

つまり、相手に対して的確で冷静な論理を用いて攻撃することで、精神的な苦痛や不安を与える行為です。

・会議やディスカッションなどで、自分の考えを主張しながら、相手の意見を完全に否定する
・メールや文書などで、相手の失敗やミスを厳しく批判し、論理的に攻撃する
・プレゼンテーションや報告書などで相手の発言や文章を細かく分析して、誤りや矛盾点を指摘する

正論を言うことは、悪いことではありません。

しかし、人格否定をするような言葉や必要以上に責め立てることはロジカルハラスメントになり得ます。

ロジカルハラスメントは、相手を精神的に追い詰める行為ですので、言葉を選んで発言しましょう。

セカンドハラスメント（セカハラ）

セカンドハラスメントとは、被害者を支援するべき立場にある人が、被害者に対して二次的な苦痛を与えることを指します。

具体的には、被害者を信じない、助けようとしないなどでさらなる非難をすることが挙げられます。

・ハラスメント被害を報告した際に上司が「それは冗談だろう」と言うなど非難する
・ハラスメント被害の報告を受けたにもかかわらず、対策をなにも講じない

これらは全てセカンドハラスメントに当たります。

セカンドハラスメントは、被害者を孤立させ、追い詰めることにつながります。

リモートハラスメント（リモハラ）

リモートハラスメントとは、オンライン上でのコミュニケーションで相手に対して不快な言動や行動を繰り返すことを指します。

新型コロナウイルスが流行して、自宅で仕事をするリモートワークが普及したことがきっかけで生まれたハラスメントです。

例えば以下のような例があります。

・背景に映った部屋に関して馬鹿にしてくるような言動
・不適切な画像などを画面に映す行為
・リモートワークを理由に過剰な量の業務を押し付けてくる

対面でも遠隔でも、モラルに反した発言はハラスメントとみなされます。

どんなときでも相手を尊重した言動を心がけましょう。

スモークハラスメント（スモハラ）

スモークハラスメントとは、タバコを用いたハラスメントのことを指します。

例えば以下のようなことがスモークハラスメントに該当します。

・非喫煙者なのに、喫煙を強要される
・わざとタバコの煙を吹きかけてくる
・受動喫煙を強いられる環境で働かさせる

このように、喫煙者による非喫煙者に向けたハラスメントのことです。

非喫煙者の健康状態に悪影響を及ぼすスモークハラスメントは、非常に悪質です。

テクノロジーハラスメント（テクハラ）

テクノロジーハラスメントとは、スマホやパソコンの操作が苦手な人に対して、嫌がらせをすることを指します。

特にIT関連の職業に多く発生するハラスメントです。

ITに強い若い部下からIT機器の操作が苦手な上司に対してされることがあります。

パソコン操作が苦手な人のために配慮を行う努力や、必要に応じて講習会を開催するなどの対策が必要になります。

ハラスメントを受けた場合の対処法

ハラスメントを受けた場合には、適切な対処が必要です。

適切な対処法を知らずに対処しようとすると、事態が悪化してしまう恐れがあるからです。

ハラスメントへの理解は人それぞれ異なることが多いので、事態を悪化させないためにも、以下の対処法を参考にしてください。

・上司や人事部に相談する
・証拠を保存しておく
・自己防衛策を確立しておく
・サポート支援を利用する
・再発防止策を実施する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

上司や人事部に相談する

ハラスメント被害を受けたら、まず信頼できる人に相談しましょう。

なぜなら、自分一人で解決することは難しいからです。

相談することで対策を講じてもらえ、問題解決につながることがあります。

まずは、ハラスメント被害の対処法の第一歩として相談してみましょう。

証拠を保存しておく

ハラスメント被害を受けた場合に一番重要なのが、証拠を保存しておくことです。

証拠を保存することで、ハラスメントを受けた事実を明確に示すことができ、問題解決のための対応に役立つからです。

証拠になるものとしては、ハラスメントが発生した日時や場所、具体的な内容、目撃者がいた場合はその情報などが挙げられます。

また、ハラスメントが電子メールやSNSなどで行われた場合には、それらのデータを保存することも重要です。

これらの証拠は、ハラスメントの事実を証明する上で確実なものとなります。

自己防衛策を確立しておく

ハラスメントを受けたら、自己防衛策を確立することが重要です。

ハラスメントへの対応を間違えると、セカンドハラスメントへとつながる恐れもあるからです。

具体的には以下のような自己防衛の方法があります。

・相手との接触を避ける
・録音などで記録しておく
・目撃者を確保する

自分を守るためにも自己防衛の方法を押さえておきましょう。

ハラスメント行為が続く場合、自己防衛のために職場や学校からの離脱を検討しましょう。

ハラスメントには冷静に対応し、さらに自分が傷ついたり攻撃されたりしないようにすることが求められます。

サポート支援を利用する

ハラスメント被害を受けた場合、サポートの専門家に相談することをおすすめします。

ハラスメント被害者は、精神的に疲弊している場合が多いからです。

具体的には、カウンセリングの利用やメンタルヘルスケアなどが挙げられます。

まずは自分の心の健康を確保して、前向きに行動できるように対処しましょう。

転職を検討する場合は、スゴキャリがお手伝いします。

スゴキャリは、キャリアの専門家達が利用者を転職支援するサービスです。

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興味があれば気軽にお問い合わせください。

一人で抱え込まずに、周囲や専門家から支援を受けることが重要です。

再発防止策を実施する

ハラスメント被害には再発防止策を講じることが重要です。

再発防止策を実施することで、同様のハラスメントの発生を防げるからです。

再発防止の具体例は以下の通りです。

・社内ルールや方針の見直し
・研修や教育プログラムの実施
・フィードバックの仕組みの整備

社内のルールを見直して、よりハラスメントへの対応を厳しくする必要があります。

また、従業員からの声を簡単に受け取れる仕組みを作ることも重要です。

そうすることで、早期に問題解決につなげられます。

ハラスメントをしないために知るべきこと

若い社員が入社してきた際、ベテラン社員がコミュニケーションに困るケースが多く発生しています。

それは、近年ハラスメントの認知が高まり、ベテラン社員が必要以上に怯えてしまっているためです。

そこで、ハラスメントを間違った認識でとらえたり、過剰に警戒したりしないために、知るべきことを紹介します。

それは、以下の2点です。

・目的は妥当か
・手段は相当か

ハラスメントの明確な定義はありません。

しかし、ハラスメントとされることには共通点があります。

ハラスメントをしないためには、この目的と手段に注意すれば、問題ありません。

誰かを「いじめよう」とか「陥れよう」というのは、目的が妥当ではありません。

新人に早く成長してほしいという理由でも、「辞めてしまえ」「使えねぇ」という言葉を使うことも手段が適切ではありません。

極端な話ですが、怒りの感情に任せて、罵声を浴びせるようなことをしなければ大丈夫です。

しっかりとコミュニケーションをとって円滑に仕事を進めましょう。

まとめ：ハラスメントに縛られないためには「目的と手段」

ハラスメントに縛られていては、コミュニケーションはうまくいきません。

ハラスメントに縛られないためには、以下の2点をしっかり覚えておきましょう。

・目的が妥当か
・手段は相当か

この2点に当てはまらない場合、ハラスメントに該当する可能性が高いです。

最初は失敗することもあるかもしれません。

「目的と手段」を繰り返していれば、ストレスのないコミュニケーションが取れるようになります。

今後どんなハラスメントが増えようとも、これで心配ありません。